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確定申告:不動産所得における事業的規模のメリット・デメリットそのほか

前回、不動産所得の事業的規模の判定について紹介しました。
不動産所得とは、アパートや貸家等の不動産の貸付による所得で、事業的規模か事業的規模以外かで取り扱いが大きく異なります。

不動産所得における事業的規模の判定について

今回は不動産所得の事業的規模のメリットとデメリットについて紹介したいと思います。

事業的規模のメリット

不動産所得における事業的規模の税制上のメリットは主に以下の四つがあげられます。

1.65万円の青色申告特別控除

不動産所得が事業的規模と認められる場合には、65万円の青色申告特別控除をうけることができます。
青色申告の届出を出し複式簿記により記帳を行う場合は、必要経費を引いた不動産所得からさらに65万円の所得控除を受けることができます。
事業的規模以外の場合は、青色申告でも10万円の特別控除しか受けることができません。

2.事業専従者給与の経費算入が可能

事業専従者給与は一定の要件を満たせば、白色申告で50万円(配偶者は86万円)、青色申告であれば届け出た範囲内で相当な金額であれば経費として認められます。
しかし、不動産所得の場合は事業的規模と認めらなければ事業専従者給与の経費算入は認められません。

3.業務用資産の取壊し、除却等損失の全額が経費算入可能

業務用資産の取壊し等があった場合、事業的規模以外の場合は、その年の不動産所得を超える金額を経費として計上することができず、赤字を計上できません。
つまり、その年の他の所得との損益通算や、損失の繰り越しができなくなります。
しかし事業的規模の場合は、損失の全額を必要経費として計上でき、赤字を出せるので、他の所得との損益通算や、3年間の損失の繰り越しが可能となります。

4.回収不能の賃料を経費として参入可能

回収不能となった賃料等がある場合、事業的規模の場合には、回収不能となった年に必要経費としての算入が可能です。
事業的規模ではない場合には、賃料を計上していた年の所得から差し引いて、所得の計算をやり直すことになります。

事業的規模のデメリット

不動産所得が事業的規模である場合、事業税がかかってしまうことがデメリットとして挙げられます。
※厳密には所得税と事業税では事業的規模の判定基準が異なるため、所得税の計算では事業的規模と判定されても事業税がかからない場合もまれにあります。

事業税は、青色申告特別控除を控除する前の所得から290万円を差し引いた金額の5%となります。

例)(不動産所得525万円 + 65万円 - 290万円)× 5% = 15万円

まとめ

不動産所得は事業的規模となることで、多くの特典を得ることができ、事業的規模かどうかで税金の金額も大きく異なります。
確定申告を行う際は、事業的規模かどうかを正しく判断することが大切です。
前年まで事業的規模に該当しなくても、物件の増加や建て増し等により事業的規模となる場合もありますので、毎年しっかり確認しましょう。

不動産所得における事業的規模の判定について

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